睡眠の質とは?寝ても疲れが取れないときに見直したい「睡眠休養感」と身体の使い方
2026/08/21
岐阜市の筋膜(ファッシア)専門整体スタジオ「THYME(たいむ)」代表理学療法士×認定筋膜マニピュレーションスペシャリスト×ムーブメントリンクススペシャリスト×ピラティスインストラクターの小木曽です。
「それなりに寝たはずなのに、朝から身体が重い」
「睡眠時間はとれているのに、すっきりしない」
そんな日はありませんか。
反対に、いつもより少し睡眠時間が短かったのに、思ったより元気に過ごせた日もあるかもしれません。
睡眠について考えるとき、どうしても「何時間眠ったか」という数字に目が向きます。もちろん睡眠時間は大切です。
ただ、身体の調子を考えるなら、もう一つ見ておきたいのが、「眠ったあとに、きちんと休めたと感じられているか」という感覚です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠時間を睡眠の「量」を表す指標とする一方、睡眠で休養がとれている感覚を「睡眠休養感」と呼び、睡眠の質を反映する指標の一つとして位置づけています。
では、「睡眠の質がよい」とは、どのような状態なのでしょうか。
「深く眠れた」だけが睡眠の質ではありません
最近はスマートウォッチなどで、
「深い睡眠○時間」
「睡眠スコア○点」
と表示されることも増えました。
こうした数字は、自分の生活を振り返る一つの材料になります。
ただし、睡眠の質を一つの数字だけで判断するのは少し難しいところがあります。
寝つくまでの時間、夜中に目が覚めること、睡眠時間、生活リズム、寝室の環境など、睡眠にはさまざまな要素が関係しているからです。
そこで、もっと身近な手がかりになるのが、
「朝起きたとき、休めた感じがあるか」
という感覚です。
これが「睡眠休養感」です。
厚生労働省も、睡眠休養感には睡眠時間だけでなく、睡眠環境、生活習慣、嗜好品、睡眠障害など、さまざまな要素が関係するとしています。
つまり、
「7時間寝たから大丈夫」
とも、
「途中で一度起きたから質が悪い」
とも、数字だけでは決められません。
朝の身体がどう感じるか、日中をどのように過ごせているかまで含めて見ていくことが大切です。
「質がよければ短くてもいい」とは限りません
ここで一つ、混同しやすいことがあります。
「睡眠は時間より質が大切」という言葉を聞くと、
質の高い睡眠さえとれれば、睡眠時間は短くしてもよい
と感じるかもしれません。
けれど、「量」と「質」はどちらか一方を選ぶものではありません。
厚生労働省は成人について、必要な睡眠時間には個人差があることを前提としながら、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保すること、そして生活習慣や睡眠環境を見直し、睡眠休養感を高めることを勧めています。
短い睡眠時間で十分な人がいること自体を否定する必要はありません。
一方で、
「短く眠ること」と「自分に必要な睡眠が短いこと」は、同じとは限りません。
最近耳にすることのある「ショートスリーパー」という言葉も、この違いを分けて考えると分かりやすくなります。
誰かの睡眠時間を基準にするよりも、
「今の睡眠時間で、自分は十分に休めているだろうか」
と考える方が、自分の身体を知るうえでは役立ちそうです。
睡眠の質は、寝る直前だけで決まるわけではありません
睡眠の質が気になると、
「枕を変えた方がいいかな」
「寝る前にストレッチをした方がいいかな」
と、寝る直前の工夫を考えやすくなります。
もちろん寝室の環境や就寝前の過ごし方も大切です。
ただ、少し視点を広げてみると、眠っている時間だけではなく、起きている時間の過ごし方も睡眠とつながっています。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、適度な運動習慣は良質な睡眠の確保に役立つとされています。中程度の身体活動として、散歩やウォーキング、軽い筋力トレーニング、掃除なども挙げられています。
「運動」というと、まとまった時間をつくって頑張らなければいけないように感じるかもしれません。
でも、
少し歩く。
階段を使う。
家事で身体を動かす。
座りっぱなしの時間が続いたら、一度立って動く。
こうしたことも身体活動です。
大切なのは、睡眠のために運動を頑張ることではなく、一日の中に「身体を使う時間」と「休む時間」のメリハリをつくることなのかもしれません。
ピラティスなどの運動も、そのための選択肢の一つとして考えることができます。
肩や腰の重さと睡眠も、別々の話とは限りません
身体がつらい日に、
「今日はなかなか寝つけない」
「腰が気になって何度も目が覚めた」
という経験がある方もいると思います。
反対に、
「あまり眠れなかった翌日は、いつもより肩や腰がつらく感じる」
ということもあります。
睡眠と筋骨格系の痛みについては研究も行われています。
2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、成人11集団、約11万7千人を対象とした前向き研究をまとめた結果、睡眠の問題がある人では、その後の慢性的な筋骨格痛と関連する可能性が示されました。
ただし、ここから、
「睡眠不足だから腰が痛くなる」
「よく眠れば肩こりがなくなる」
と単純に考えることはできません。
身体の痛みが睡眠を妨げることもありますし、仕事の負担、ストレス、身体活動、生活リズムなど、さまざまな要素が重なっています。
だからこそ、肩や腰が気になるときも、
「どこの筋肉が硬いのだろう」
だけではなく、
「最近、身体を休められているだろうか」
という視点を加えてみると、身体を違った角度から見るヒントになります。
8月の睡眠は、暑さや生活リズムにも目を向けて
夏は「寝たはずなのに疲れた」と感じやすい条件も重なります。
暑さで途中で目が覚めたり、冷房が気になって眠りが浅くなったり、暑さを避けて日中の活動量が少なくなったりすることがあります。
さらに、暑い日にコーヒーやお茶、エナジードリンクなどを飲む機会が増えている方は、摂る時間にも少し注意してみてもよいでしょう。
カフェインには覚醒作用があり、寝つきを悪くしたり、中途覚醒を増やしたりする可能性があります。厚生労働省の睡眠ガイドでは、良質な睡眠の観点から、夕方以降のカフェインを含む食品や飲料を控えることが勧められています。
すべてを一度に変える必要はありません。
たとえば、
「最近、昼間にほとんど歩いていなかったな」
「夕方のコーヒーが習慣になっているな」
「暑くて夜中に何度か目が覚めているな」
と気づくだけでも、睡眠を見直すきっかけになります。
「よく眠らなければ」と頑張りすぎないことも大切です
睡眠について調べ始めると、
「○時間眠らなければ」
「毎日同じ時間に寝なければ」
「もっと深い睡眠をとらなければ」
と、今度は「良い睡眠」そのものが課題になってしまうことがあります。
まずは完璧な睡眠を目指すより、
朝起きたとき、少し休めた感じがあるか。
そこから振り返ってみてはいかがでしょうか。
睡眠時間は足りているか。
日中に少し身体を動かせているか。
夜まで活動し続けていないか。
寝室の暑さや光が気になっていないか。
身体の不調を一つの場所だけで考えないのと同じように、睡眠も「寝ている時間」だけで切り離さず、一日の過ごし方とのつながりから見てみることができます。
なお、十分な睡眠時間を確保しても休養感が得られない、強い日中の眠気が続く、眠れない状態が続いて日常生活に影響している、といった場合には、生活習慣だけでなく睡眠障害などが背景にあることもあります。厚生労働省も、このような症状が続く場合には医師への相談を勧めています。
「どうすればもっと短く眠れるか」ではなく、「今の睡眠で、自分の身体は休めているだろうか」。
その視点から睡眠を見直してみると、自分の身体との付き合い方も少し変わってくるかもしれません。
正しい知識とトレーニングをこころがけて筋膜(ファッシア)の正常化と健康寿命の延伸を図っていきましょう!
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